【閑話休題】これで今年の駒場通いも打ち止めです

東大科学技術インタープリター社会人講座受講のために，会社帰りに駒場まで．

今日の講師は長谷川寿一さんで，テーマは「ダーウィンと人間の進化的理解」で
した．もともと粥川さんの自主ゼミで，岩波文庫の八杉龍一訳「種の起原」を読
みあわせ，上野まで科博のダーウィン展を見に行った私としては，非常に興味深
いテーマだったといえます．

とくに興味深かったのは「こころの進化を復元するには？」という命題に応えよ
うとする，進化心理学（あるいは人間行動進化学）というアプローチ．進化心理
学も，元祖はダーウィンだそうです．

・ヒトと近縁な動物（とくに類人猿）との比較
・ヒトの発達過程
・こころの適応と障害
・通文化的な心理・行動
・人類進化史上の遺物からの再構築
・進化学の理論に基づく仮説検証
といったものがあるそうです．

進化的ゲーム理論のような話もされていました．ゲーム理論は以前，筑波大学の
ビジネス大学院でかじったので懐かしかったです．

近縁種間の比較で興味を惹いたのが，チンパンジーとヒトとの比較の話．

チンパンジーとヒトは遺伝子レベルで近く，チンパンジーはヒトと同様に喧嘩も
するしすぐ仲直りもする，なだめ行動も示すけれども，なぐさめ行動，すなわち
他者と共感し思いやるという行動がほとんどないのだそうです．

長谷川さんは，受講生からの質問に答える形で「諸科学を統合するというのが，
ダーウィンの理論．進化は諸科学をつなぐ赤い糸．人間理解についても同様のこ
とがいえる」ととりまとめました．

ほぼ一方的な座学の講義ではありましたが，なかなかおもしろかったです．

☆　☆　☆

備忘録代わりに，今回のレポート課題についてメモっときます．

レポート課題：
「進化的視点は人間の理解にどのように寄与するか，また進化的視点を導入する
ときにどのようなことに留意すべきか」
Ａ４　１枚以内で（書式自由）
締め切り：2009年 1月 8日（木）

参考図書：

進化と人間行動

• 作者: 長谷川 寿一
• 出版社/メーカー: 東京大学出版会
• 発売日: 2000/04
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

進化と人間行動

• 作者: 長谷川 寿一
• 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
• 発売日: 2007/03
• メディア: 単行本

種の起原〈上〉 (岩波文庫)

• 作者: チャールズ ダーウィン
• 出版社/メーカー: 岩波書店
• 発売日: 1990/02
• メディア: 文庫

種の起原〈下〉 (岩波文庫)

• 作者: チャールズ ダーウィン
• 出版社/メーカー: 岩波書店
• 発売日: 1990/02
• メディア: 文庫

心の進化―人間性の起源をもとめて

• 作者:
• 出版社/メーカー: 岩波書店
• 発売日: 2000/11
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

ダーウィンの足跡を訪ねて (集英社新書)

• 作者: 長谷川 眞理子
• 出版社/メーカー: 集英社
• 発売日: 2006/08/12
• メディア: 新書

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

• 作者: 長谷川 真理子
• 出版社/メーカー: 岩波書店
• 発売日: 1999/06
• メディア: 新書