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【サイエンスカフェレポート】第12回 科学ひろばサイエンスカフェ「京都議定書のゆくえ ~低炭素経済に向けた 新たな合意形成の動き」(3/7)

今回も参加者の方の中でサイエンスカフェレポートを書いていただきました!

第12回 「科学ひろば」サイエンスカフェ
    京都議定書のゆくえ
    ~低炭素経済に向けた 新たな合意形成の動き
    2010年3月7日(日) 14:00~16:00
    品川区大崎第二区民集会所 第1集会室
    文・青木雅昭(3月24日)

科学的知見や根拠、また技術の進歩が社会的活動(政策・施策の決定など)と
どのように関わっているか、ということに興味を持つ様になり、何度かサイエ
ンスカフェに参加させてもらっています。今回は、温暖化問題がテーマで実生
活とも関わり深い話題ということもあり参加しました。温暖化問題については、
ニュース報道や書店で平積されている啓発本・懐疑本をパラパラっと立読みす
る程度で、あまり詳しくありません。  小雨の降る中、主催者を含めて約10
名の参加者が、まだ真新しい集会所の一室に参集してゲストのお話しをうかが
いました。ゲストの本多氏は鉄鋼会社の方で、日頃あまり聞くことがない産業
界の状況を直接聞くことができて、興味深く対話させていただきました。

お話しでは、IPCC 等の国際的な取組みから、国別に設定されている温室効果
ガスの削減目標や、各国の温室効果ガス排出量の現状などを詳細な資料を示し
つつ解説していただきました(資料は各行政機関等から提供を受けたものとい
うことで、著作権の兼合いで配布されなかったのは残念でした)。また、産業
界9団体が今年2月に出した「地球温暖化対策基本法案に関する提言」や、現
在の産業界の現状や取組みについても解説されました。  これらの中で、国
別の削減目標の不公平感や、削減目標を達成するための技術的な裏付けを加味
した実現可能性がきちんと議論されているのか、といったことも指摘されてい
たと思います。日本はCO2削減技術では既にトップランナーであるが、現政権
が打ち出した2020年までに1990年比で25%の排出削減を達成するための技術的
な裏付けはないようです。目標達成には、国内での更なる技術革新が必要であ
るが、すぐには難しいのではないかと思います。そのため、排出量取引や工場
稼働率の低下によって排出削減を賄わざるを得ない状況のようです。そうなる
と、国民に対して負担を強いたり、経済の発展が停滞したりしてしまう懸念が
あると感じました。

温暖化対策は一国のみの実施では効果が薄く、地球規模で実効性のある温暖化
対策が必要となります。しかし、多く取沙汰されている議論は、日本国内のみ
の政策や規制をどうするか、といった内容が多い様に感じます。最新の技術が
未だ導入されていない中国、インドなどの発展途上国に対する技術援助・技術
移転の必要性を、本多氏や産業界の提言も指摘していました。途上国に対する
このような支援に関する議論は、どうしても産業界のなかでの議論になってし
まう感じなので、もう少し世間一般で取上げてもいいと思います。更に、国毎
ではなく産業や技術分野毎に削減に取り組むセクトラルアプローチという考え
方があるということも、今回初めて知りました。また、温暖化対策という大義
ではなく、産業界でも個人レベルでもコスト削減などインセンティブにつなが
りやすい動機付けの方が、対策を実行しやすいのではないかとも思います。個
人を対象とした政策では、エコカー減税やエコポイント制度などを導入して、
インセンティブを与えるということになっているのかもしれません。また、今
回はあまり話題にのぼりませんでしたが、そもそも本当に地球は温暖化してい
るのか?温暖化対策そのものは必要なのか?といった点にも科学的に議論しな
ければならない余地はあると思います。  最後に、今回のテーマに限ったこ
とではありませんが、対話を通じて感じたことを一つ。ゲストの方は、そのテ
ーマに関して日々取組まれている「プロ」の方で、首尾一貫した主張をお持ち
になっておられます。その一方、日常的には温暖化問題に取組んでいない「素
人」にとっては、問題の本質を見抜くのはなかなか難しいものです。このよう
なときは、いろいろな立場・意見の違う人(今回であれば、例えば、現状の温
暖化対策基本法を推進している方、環境 NGO 団体の方など)をも交えての対
話がなされると、課題と対策の本質的な点がより明らかになり深く理解できる
ようになるのでは、と感じました(ただ、そうすると、集会がディベートのよ
うな形式になり、対話というサイエンスカフェの主旨とは違うかもしれません
が。。)。

今回の対話は、様々な立場の人や国の思惑がある中で、科学的見地に基づいて
政策など絶対的な正解がない課題を克服することの難しさを改めて感じる機会
となりました。

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